旧車(HONDA Z360)自転車など。気ままに。


by ab-acry

carry meでロングライド

冒険がしたくなった。

自転車に見えないほどタイヤの小さな、折りたたみ自転車Carry Me

朝起きて、いつものようにウォーキングに出かける感覚で出発した。

愛知県豊田市から、滋賀県彦根市までの150kmの旅。

天気予報だけ出発の前に確認した。曇り。雨はない。ならよし。

タイヤの小さな自転車なので平均速度は15km/h以下としても10時間以上はかかる。

暗くなってもよいようにライトと反射ベストを。
寒くて凍えないようにコンパクトなダウンジャケットとレッグウォーマーを。
いつでもリタイアできるように輪行袋(電車に自転車を載せるときに使う自転車カバー)を。
必要と思われるものを小さなリュックに詰めた。

朝食はハイカロリーなものを。ということで、実家から送られてきたワッフルに練乳とはちみつをかけて、
一気に流し込む。あと、生卵も飲みこむ。あとのエネルギーは移動中にコンビニで買う。
準備は整った。さぁ、地獄を見よう。

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写真 6:40出発。

第一補給、名古屋市天白区役所付近のファミマにて。8:25~8:35 35km地点
・クエン酸入りゼリー食
・ミニ羊かん
・キレートレモン

これまでの経験で、運動中の食事について分かったことがいくつかある。
ひとつは、朝昼晩の三食では足りないこと。途中でエネルギー切れになるので随時補給が必要になる。
ひとつは、塩分補給を十分に行うこと。薄めたスポーツドリンクで水分補給をするのが良い感じ。
ひとつは、脂分や食物繊維、単純に量が多いなど、消化に時間を要するものは腸の中で滞ってエネルギー吸収が十分に行えないので不適だということ。なるべく、油がなく、繊維もなく、消化しやすいものを少量ずつ取ったほうが調子がよいようだ。
もうひとつは、クエン酸の力。すっぱいものを食べると、運動中のいわゆる「乳酸がたまった」というじんわりした筋肉の痛みが和らぐ。
というわけで、上記の食糧を調達した。キレートレモンはビタミンCとクエン酸がたくさん入っているようだったので購入。

第二補給、名古屋市南区のサークルKにて。9:15~9:20
・お菓子(ミニせんべい)

ちなみに、買い物をしていないトイレ休憩は補給から地点から除いている。
この時、行くべき道をすでに間違えていたようで、気が付いたら西へ向かうはずが南に進んでいた。

そんなこともあって、力が出なくなってきた。小さいタイヤでは距離が伸びない。それでもまだ、18km/hくらいは維持していた。

木曽川と長良川にかかる長い橋を渡り、やっと名古屋を抜けた。
このころになると足も回らなくなり、スピードも落ちてくる。時計と距離を確認する感覚が短くなる。あれ、まだこれしか進んでない?と思うということは、”辛い・苦しい”時ということだ。

第三補給、愛知県弥富市のセブンにて。10:50~11:00 56km地点
・キレートレモン
・アメリカンドッグ
休憩地点でドリンクを補給。そんなに食べなくてもまだエネルギー切れにはなっていないはず、と思っていたがコンビニのお兄さんに揚げ物安いですよ?と言われてアメリカンドッグを購入。うまい、うまいぞぉ。
食べたら嘘みたいに足が動くようになった。単にエネルギー切れだったらしい(笑)
あと、ここで体温がとても下がっていることに気が付いた。寒い。持ってきたダウンジャケットを羽織って出発。暖かいと体がよく動く。
辛かったのは、エネルギー切れと体温の低下が原因だったのか。なるほど、なるほど。

写真 三重県いなべ市へ向かう。12:30 77km地点。
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琵琶湖はあの山の向こうだ。あの山を越えるのか。さっきまで霞んで見えなかった山がもうこんなに近くに見えるようになった。そもそも山はまだ遠い。そんな感想が頭の中をよぎっていった。

第四補給、三重県いなべ市山越え前の最後のコンビニにて。13:30~13:45 90km地点
・クエン酸入りゼリー食
・おにぎり(鶏五目)
・おにぎり(鱒ずし)
・キレートレモン

山の手前までやってきた。エネルギー切れになった経験を生かしてちゃんと補給用食品を買う。これを食べれば何とかなるはず!

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写真 山越え直前でおにぎりを食す。14:12~14:16 96km地点

さぁ、いよいよ山の手前。坂道が始まった。ここから10kmかけて400mを上る。平均するとそんなに大した坂じゃないけれども、10kmは長い。というか、エネルギー切れ云々の前に、わりと全身に疲労感があふれていた。正直なところ、めげそうだった。とはいえ長い道のりも、10kmののぼりを越えれば後は20km下ったら目的地の琵琶湖だ。あと30km、あと30km・・・

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写真 山越えの峠道が冬季封鎖されてる図。

な、なんだってー!だけど、これも無計画の醍醐味。ピンチの時こそ、「だがそれがいい」とニヤッと笑うのだ。
予定していたルートが通れなくなり、迂回することになった。距離は伸びた。目的地まで50kmになってしまった。距離を想像しただけでおなか一杯だ。でも、まだ日は高い。50kmくらいなら時速10kmでトロトロ走っても5時間で着ける。

第五補給、岐阜県大垣市関ヶ原目前のサークルKにて。15:20~15:28 km地点
・クエン酸入りゼリー食
・カロリーメイトハーフ(メープル)
・カロリーメイトハーフ(プレーン)

山越えを予定していたので、じんわり登りながら行くのかと思ったけれど、ずっと下りが続いている!これなら!

と思っていたら、目の前にの民家の塀からバックして軽トラが出てきた。とっさに足をだして荷台を蹴り、自転車を止めた。自転車にも自分にも、相手の車にも被害が出なくてよかった。慌てて、大丈夫ですか!という運転手のおっちゃんに、大丈夫と言って出発。ああ、よかった。大事に至らなくて本当に良かった。

クエン酸が効いているのか、「乳酸がたまった」ような筋肉の痛みがあまりない。あの痛みが出るともう辛さしか残らないので、良いことだ。

この辺りの記憶があまりない。もう一心不乱にあと何km!あと何km!とだけ考えて足を回した。

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写真 琵琶湖到着 16:00 147km
写真 夕焼けをバックに彦根城
写真 彦にゃんと記念撮影(本物には会えなかった)

そして、ついに、ついに琵琶湖に到着!彦根城だ!
ぎりぎり空が明るいうちに到着できた。彦根城は閉館していたので外から眺めた。
琵琶湖は、とても大きかった。もはや海だ。

とりあえず、ここから自転車で帰る力は残っていないし、電車で帰る元気もないので、宿をとることにした。
近くにあった宿に電話をかけて、当日ですが泊まれますかとお願いしたところ、シングルは埋まっているのでダブルならあるようだ。少々お金は高くつくが致し方ないので、予約した。夕食は当日予約だと用意できないとのことだったので、ご当地グルメを受け付けさんに聞いてみた。「ちゃんぽん」が有名らしい。よし、食べに行こう。

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写真 彦根のB級グルメ、近江ちゃんぽんを食べる。補給食ばかりでまともな食事をとっていなかったので、あったかいのがうれしい。シンプルな塩味のラーメンにゆでた野菜が乗ってる感じ。うまし。

ゆっくりと食事をとって、宿に向かうため自転車にまたがった。そこで尻が痛いことに気が付いた。ずっと自転車に乗っていた時は痛覚が麻痺して痛みを感じなかっただけで、少し休んだら尻が痛いこと痛いこと。道中長い休憩は一度も取らなかったけれども、正解だった。たぶん一度休んでいたらもう走りだせなかったと思う。

宿に着いた。汗が乾いてざらざらになった顔を洗ってすっきり。温泉はちょうど誰もおらず貸切状態!。琵琶湖のほとりの宿で、浴場は最上階だった。夜で景色は見れなかったのが残念。でも、いい湯であった。

2日目

筋肉痛で2時間おきに目を覚ます。暖房が効いていてのどと目がカラカラ。スポーツドリンクを飲む。
クエン酸が効いたのか、スポーツドリンクを飲んでから痛みは和らいだ。

朝食はバイキング、つい食べ過ぎてしまう。おなかパンパンである。

せっかく彦根まで来たので、観光をしてから帰ることにする。
自分の中で、観光地にきたらやりたいことが大きく三つある。一つは、銘菓を食べること。一つは、ご当地料理を食べること。あとは、地元の窯元で焼き物を買うこと。
ネットで調べると、宿から駅までの間で、三つともめぐることができそうだ。

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写真 創業200年の和菓子屋さん、「いと重」にて銘菓「埋もれ木」を買う。

宿のお土産コーナーにも置いてあった銘菓。これ、めちゃくちゃうまい。


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写真 千年以上前からある伝統食品、珍味「鮒ずし」を買う。

話には聞いていた寿司のルーツといわれる食べ物。一度は食べてみたいと思っていたのだ。一匹3200円。高い。高いぞ鮒ずし。高級珍味。とはいえ、せっかくここまで来たので買って帰る。

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写真 旅の土産に地元の窯元でぐい飲みを買う。

窯元でその地域の焼き物の特徴とかの話を聞く。探すのは、集めてもあまりかさばらない”おちょこ”。
ひっそりとしたいかにもなお店に似合わず、若いお姉さんが店番をしていた。焼き物の説明をあれやこれやとしてくれた、気さくでとても話しやすく、ほっこりした。

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写真 膝の間に抱えて電車で帰る。11時間かけてやってきた道のりはあっという間に通り過ぎる。

無計画に唐突に始まった彦根までの旅はこうして幕を閉じた。
恐ろしく長かったような気もするし、あれっというほど早かったような気もする。苦しみや辛さ、ハプニングを楽しむって気持ちを持っていればこんなにエキサイティングなことはないように思う。冒険ってそういうものかなと思った。辛さを乗り越えた経験を積めば積むほど、どんどんチャレンジしやすくなって、どんどん経験値が増える。今回もまた、いい経験ができた。

後日談1 鮒ずし
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鮒ずしを食べてみた。とても独特の味がして、正直これはだめだと思った。けれど、食べ物に罪はないし、おいしいという人もいるので、あきらめずに何度もチャレンジしていたら、三日目にして、慣れた。なんだ、臭みや味、触感なんて慣れてしまえばどうということはない。残るのはうまみだけだ。納豆だって、梅干しだって、初めて食べる外国人は苦手だというけど、食べなれてしまえばうまいじゃないか。

後日談2 体力
ボロボロになって帰ってきたので3日間くらいは筋肉痛が取れなかった。だけど、筋肉痛が直ったとき、体がとても軽くなったように思う。いつものウォーキングに出かけたとき、体が軽くて驚いた。体に負荷をかけた分だけ、間違いなく成長するんだなと実感。成長が約束されているなら、筋肉痛も楽しめる。

学んだことまとめ
・小径車でも長距離走れる。辛いけど。
・力が出なくなったら体温とエネルギー切れの可能性大。あっためて消化の良いものを食べるとよい。
・補給食にはお米が良いかも。チョコとかパンは油が多い。
・クエン酸て偉大だ。必要なものをちゃんと摂取していれば辛さはかなり抑えられる。
・痛みは慣れる、麻痺して感じなくなる。そうなればこっちのもんだ。
・くさい食べ物とかも慣れる。おいしさは必ずどこかにあるはずだ。食べ物は悪くない。
・苦しみを楽しむっていう姿勢は、人生をとても豊かにすると思う。
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by ab-acry | 2015-03-10 12:50